建築というものは、普通地面に定着しているもののことです。
しかし、それは未来永劫変わらないということはなく、自然に任せれば朽ちて散り散りになっていき、人の手が入れば、材料を継ぎ足したり交換したりして代謝させることもできます。そもそも、建築は初めからそこにあったわけではなく、どこか別のところにあった材料が運ばれてきて、一時的に組み上げられているものです。
つくった人が必ず使うわけでもなく、関わる人は長い時間を通して変わっていきます。
そう考えると、建築というのはマテリアルも人も流動しているなかに、揺れ動いて存在しているわけです。
何百年も続く歴史的な建造物であっても、その修繕は当時にはなかった新しい技術や材料でなされており、その存在意義や取り巻く状況も変わり続けています。
また、巨大なハブ空港のように、年間数千万人もの人々が利用し、拡張し続ける激しい流動と共にある施設もあります。
リノベーションは多くの場合その場の文脈に向き合う必要があるし、新築の場合でも長期的な変動にどのように応えることができるのかは重要なトピックです。
移り変わっていく自然環境との関わりや、より広域な社会システムであるインフラとの関係も問われるでしょう。
また逆説的に、「変わらないもの」の価値が見い出されるかもしれません。建築が、物質的にその場に存在しているということを超えて、時間的にも空間的にも、より広い世界の流動のなかにあるということを考えてみてください。
野心的な提案をお待ちしています。